キーキャップの選び方

Twitter でこういう質問がきたのだけど、とても 140 字で収まらないので書くことにした。

たぶん、これから自作キーボードをはじめる人がキーキャップを選ぶときは以下のことを気にしてみるといいと思う。

  1. キートップの形状
  2. 使おうと思っているキーボードに必要なキーキャップの数

なお、これから書くキーキャップについては、CherryMX 互換スイッチに使えるキーキャップのみを対象とする。Choc v1 に関しては、使ったことはないが今だったらMBKのキーキャップがよいのではないかと思う。Choc v2 に関しては、わからない。

キートップの形状

キーキャップを購入しようとすると、XDA や DSA, OEM, Cherry, SA などといった文字列をよくみることになると思う。これらは、キーキャップの形状の種類をあらわしており、プロファイルと呼ばれたりする。プロファイルによる形状の違いは、このページの写真を参考にしたい。

これらのプロファイルは、それぞれいろんな違いがあるのだが、まず選ぶ際に気にするポイントとなるのがキートップ(キーキャップの上面)の形状だと思う。 キートップの形状は、大別すると比較的フラットなものとフラットでなく削れているものの二種類がある。前者はノートパソコンのキーボードのような形状、後者はHHKBなどのような形状といえばイメージがつきやすいかもしれない。個人的には、この形状の違いがまずは一番好みがわかれるポイントではないかと思う。

キートップがフラットな形状のプロファイルとしては、XDA や DSA, TEX ADA などがある。これらの特徴としてはキーボードの段ごとで形状が変わらないノンステップスカルプチャーがほとんどであるということである。つまり、すべてのキーにおいてサイズを除けばキーの形状が同じなのである。

フラットでないものについては、OEM, Cherry, SA などがある。これらのキーキャップは、前述したものたちとは違いキーボードの段ごとで形状の変わるステップスカルプチャーが採用されていることがほとんどである。しかし、SA というプロファイルについては、たまにすべてのキーが特定の段の形状になっているものが販売されていたりする。 キーキャップのセットを買おうとする際、すべての形状が同じかどうかを判別するには、販売ページにある同梱されているキーキャップ一覧の写真をみるとよい。段ごとに R1, R2, R3, R4 などと書かれている場合は、段ごとに形状の違うことが多い。段ごとで形状が違う場合は、Rの後の数字が全て同じだったりする。

例えばこのSA GodSpeedというキーキャップセットには、さまざまな種類のキットがあり、GENESPEED というバリエーションには R1 から R4 までのキーが含まれており、MITOSPEED には R3 のキーのみで構成されていることがわかる。

ちなみに、個人的なことをいうと私は比較的フラットなプロファイルは割と苦手である。タイピングする際にキーを迷うことがある。

なお、キートップの形状にのみ書いたが、そこからキーの高さや、キートップのくぼみの形状が球状なのか棒状なのか、プラスチックの薄さ、表面のざらつき、ホーミングバーの高さなどこだわりたくなるポイントは多いだが、触ってみないとわからないポイントも多い。

使おうと思っているキーボードに必要なキーキャップの数

キーキャップセットを買う場合、ふつうの 100% キーボードから 60% キーボードなら問題なくつかえるであろう。しかし、日本の自作キーボードで流行っている分割小型のキーボードは、そうはいかないことが多い。

なぜなら、日本で設計された分割キーボードの多くは小型化のためか 1u と呼ばれるサイズのキーキャップを多用することになるからである。1u とはキースイッチ 1 個ぶんのサイズとなる。必要なキーキャップの数については、商品の販売ページ、もしくはビルドガイドに書かれている。Keyball46 というキーボードはビルドガイド1u 45個、1.25u 1個 と記載されているので、これを用意する必要がある。

例えば、私が初めて組み立てたErgo42は 1u のキーキャップのみ 56 個必要となった。これをステップスカルプチャーを採用しているCherry Profile Violet KEYCAPS SETで組み立てようとした場合、A のキーがある段のキーキャップの 1u が足りなく他の段からキーキャップを持ってくる必要がある。同一段に形状の違うキーがあるのが気にならなければよいが、そうではない場合は注意して買う必要がある。

キーキャップセットの中には、すでにこのように 1u をたくさん使うようなキーボードを想定したキーを含めたキーキャップセットも存在する。DCP PEGASO のセットは、テンキー用のキーキャップは別オプションになっているがベースのキットは 1u を多用する Othro キーボードにも対応する数のキーキャップが存在している。また、こうした 1u のキーキャップなどを別オプションとして販売しているキーキャップセットも多く存在し、主流である。GMK Laser では、ベースのキットに加え、Extra というキットを購入すれば対応できるようになる。

買おうとしているキーキャップセットが 1u をたくさん使うキーボードに対応しているかどうかを判別する方法は写真だけではない。キーキャップの説明に Othro40% と書かれている場合は、そのようなサイズのキーキャップが多く含まれていたりすることが多い。

さて実はノンステップスカルプチャーのキーキャップを購入する場合は、このような選ぶ際の苦労はなくなる。なぜなら前述したとおり、段ごとに形状が違わないのでどこのキーキャップをどこにはめても形状としては問題がないからである。

結局何を最初に買うべきか

これは非常に難しい質問である。

もし、フラットな形状に問題がない場合は、XDA のキーキャップを買うのを最初はおすすめする。理由としては、比較的価格が安いことと、キーキャップセットで買っても比較的どのキーボードキットにも使える、恒常的に買いやすい、1u からでも買えるなどがある。

とはいえ、一度は Cherry Profile の GMK 製のキーキャップを試してもらいたい気もする。GMK は、ドイツ製のキーキャップでネットでみるだいたいかっこいいキーキャップは GMK 製なことが多い気がする(個人の感想)。特徴としては、品質がよく、指へのなじみ具合もよく、高い。また、基本 GB と呼ばれる方法での 1 ヵ月程度の販売が多く、注文後 1 年以上待つことがざらである。しかし、気にいったキーキャップの GB に参加しないと、次に同じものが販売されることは保証されないという性質のものだ。ただし、人気のあるものについては、何度も再販されることが多く、GMK White on Blackは定番となっていて定期的に入荷されている。また、とても人気の高いGMK Laser は、何度か再販した後、毎週月曜にストックされるようになっていて入手性が非常に高くなっている。

しかし、ここまでいろいろ書いたが、難しいことを考えず気に入ったデザインのものを買ってしまうのもよいと思う。キーキャップはさみしがりなので、気づいたら仲間を呼んでおり、持っているキーボードの数より増えていたりする生き物である。なので、好きなのを買うといいと思う。