RubyKaigi に行ったらキーボードを組み立てるようになった話

この記事は自作キーボード #2 Advent Calendar 2018 の 21 日目の記事です。昨日の記事は383さんのキースイッチ擬人化合同本ができるまでです。

今日は、私が RubyKaigi 2018 から帰ってきた後に、何故かキーボードを組み立てだした、この半年をふりかえりたいと思います。本当は自作キーボードについて自分が得た知識とかも書く予定だったけど、ここまでの過程をまとめあげただけで、だいぶ長くなったので、それはまた別の機会に。

きっかけは RubyKaigi

RubyKaigi 前に NaCL 方面の間で自作キーボードをやりだしている動きを観測していました。そのころは、自分で組み立てるには、海外のよくわからないサイト(当時のイメージ)を複数駆使して注文しないといけないうえに自分で組み立てないといけない面倒なものという認識で近寄るつもりはなかったです。そのときは、会社のメンバーをとりまとめて ErgoDoxEZ を 8 台購入するということをやったりしていました。

そして、RubyKaigi 会期中、事件は起きます。何故か、RubyKaigi の会期中にキーボード会議 が行われるという情報を知ります。私は、その場には参加しなかったのですが、その流れで自作キーボードに目覚める Rubyist を何人かみかけ、自分もあてられるように興味を持ったのでした。 また、RubyKaigi での shugomaeda さんの自分の使うものは自分で作ろうという発表にあてられたのもあります。もちろん、shugomaeda さんもキーボードを自作しています。

そして、RubyKaigi から帰ってきてから、自作キーボードについて調べるとどうやら、日本国内でキーボードキットが購入できるようになっていることがわかってしまいます。 このとき、私は Ergo42 を見つけます。実は RubyKaigi で観測された自作キーボードに手をだしだした Rubyist たちは Helix を購入しているひとが多かったのですが、ちょうど私がみたとき Helix は予約注文で、Ergo42 は在庫ありとのことだったので、Ergo42 を購入することにしたのです。このときは、こんなことになるとは思いませんでした。

初めてのキーボード

さて、初めてのキーボード作りだったので、工具をそろえるところから始めました。道具をそろえるのは、この gist をみて、半田ごて、半田ごて台、リードベンダ、作業マットを購入しました。 そして、キーボードキットが届くまでの間に、TALP keyboard でキースイッチとキーキャップを購入します。実は、このとき初めて Ergo42 に数字列が無いことに気づきます。

また、到着までに Ergo42 の作者である Biacco42 さんが書かれた KbDC93 を読んで、自作キーボードに必要な知識を得たりしました。 キーボードキットが届いてから、少しずつ組み立てだしてまもなく、モゲマイクロという現象を知ります。 モゲマイクロの対策をすべく、会社近くの千石通商へ行き、ピンソケットを購入し、pro microのピンソケット化します。これにより、キットに付属していたスペーサーでは低く、pro micro のカバーが pro micro にあたってしまったので、スペーサーも購入しました。このピンソケット化は、結果として活用されます。私が購入した Ergo42 のバージョンでは、左右で pro micro を裏表逆に半田付けする必要があったのですが、どちらも同じ向きに半田付けしてしまっていたのでした。そのため、このピンソケット化のおかげで、すぐに別の pro micro にすることができました。(なお、その後でた次のバージョンでは、pro micro の裏表が左右で揃い、さらにコンスルーによる抜き差しが可能になってます。)

ついに、できあがって使い出してみると、戸惑う点がいくつかでてきます。まず、Ergo42 は 4 列キーボードのため数字がないのでレイヤー切り替えて使うということにとまどうといます。また、横が 7 行あるため、どこにホームポジションにするかということにも迷います。最初は、内側から 2 つめのキーに F, J を置いて外側 2 つをもモディファイアキーのようにしていたのですが、しばらくして、内側から 3 つめのキーを F, J とする配列にすることとなり、これに落ち着きました。 しかし、数字列が無いという点は、使い出して 1 週間ぐらいでやはりつらいのではという気持ちになり次のキーボードを探しだすのでした。

(できあがったキーボードの写真などは、最後のほうにまとめておきたいと思います。)

数字列をもとめて

続いて、数字列を求めて、Helix 5 行モデルの購入を決めます。Helix の実装はダイオードが Ergo42 とは違って、表面実装のチップダイオードを使うことになっていたのを知っていたので、組み立てる前にフラックスと逆作用ピンセットを用意しました。実際組み立て出すと、自分にはフラックスはあまり必要ないと感じました。逆作用ピンセットについては、しばらくは不慣れで使いづらさを感じたのですが、慣れるときっちり形をあわせるときに気にしないといけないポイントが減っているようでよかったです。

Helix のために買ったキースイッチの数が足りず、Ergo42 を作ったときのキースイッチを数個使うという事態が発生しましたが、無事完成しました。無事完成はしたものの、次の問題が発生します。数字列が欲しくて 5 行モデルを買ったのに、できあがる頃には Ergo42 でレイヤー切り替えによる数字入力に慣れてしまっていたのです。なので、Helix でも数字列があるのにそれを使わずレイヤー切り替えで入力するスタイルになります。

この頃は、毎週火曜の Asakusa.rb の会場を自社としたときに、始まるまでの時間にキーボードの半田付けを行っていたり、半田付けが終わったやつの動作確認をしていたところ、すっかりキーボードを毎回作っている人というイメージがついてしまってました。

MakerFairTokyoとコミケ

その後自作キーボード Discord を知り、順調に毎日 ROM るようになっていました。そこで、MakerFaireTokyo2018 で自作キーボードの出展がいくつかあるということを知り、初めて MakerFaire に行くことを決めます。この時、row-staggered な Mint60 がでるということなので、Mint60 をお目当てに行ったのですが、私が会場に移動している間に売り切れの報が流れてきます。なので初日は、Mint60 と一緒に発売されていた Blockey を購入して帰宅します。

しかし帰宅後、それまでロープロファイルのキーしか使えないので自分には合わないと考えていた、これまた MakerFaireTokyo2018 で初めて発売の Helix pico が気になり出します。あわないと決めつけて試さずにロープロファイルを使わないというのは、ダメなのでは無いかと悩み出し、気づいたら翌日 Helix pico を入手していました。

Helix pico は、すごく簡単な作りであっというまに組み上がりました。使ってみると、非常にコンパクトでサイズ感はとてもよかったのですが、やはり自分とロープロファイルのキースイッチがあわなかったようでした。

MakerFaireTokyo2018 からあまり時間がたたないコミケで、Fortitude60 がでるというのが知ります。このときは、親指にアサインできるキーが豊富な Fortitude60 が End Game になると思っていました。 コミケにどうやって行くかということを考えていると、ukstudio もコミケに Fortitude60 を購入しにいくということだったので、ukstudio に代理購入を頼んで、入手できました。

技術書典05

時は過ぎ、技術書典05Corne keyboard の作者である foostan さんによる自作キーボード本が出るという話を知ります。この本は、スプリット型キーボードの基板設計から発注、 qmk_firmware のいじり方が開設されている本です。ここまでに、ねこ作も読んではいるのですが、ねこ作とは違い、KiCAD を使った方法が書かれているので、俄然気になります。また、本と同時に Corne がキーソケットに対応した Corne Cherry も発売されると聞いて、初めての技術書典参加を決意します。

もともと Corne の存在は知っていたのですが、Kinesiss や ErgoDox で親指を活用するのに慣れた自分には親指のキー数が少なすぎるだろうという気持ちでいました。しかし、実はここまでの間に column-staggered を試そうと ErgoDash を買っており、やはり数字列があるとでかくて手が届きにくいという気持ちが増して、小さい Corne が欲しくなるのでした(その後、ErgoDash には数字列の無い ErgoDash mini が発売されます)。

技術書典05 当日、私が到着するまでに Corne Cherry は完売していたのですが、本は入手することができました。また、自作キーボード関連でいうと、当日は Romly さんの軸の本、後日に riconken さんの本を入手し、大変満足でした。

天下一キーボードわいわい会 Vol.1

その後、Mint60 作者の eucalyn さんが主催する天下一キーボードわいわい会、通称天キーにも参加できました。この会は、大変刺激的で、例えばめちゃめちゃ重いキースイッチで作られたキーボードがあれば、キースイッチの軽さを追求したキーボード、既製品の Kinesiss にトラックポイントを埋め込んだものなど、自作キーボードにもいろんな世界があるのだなぁと思いました。 そして天キーでついに Corne Cherry を手に入れます。また、modulo と呼ばれるキーボードの構想を聞き、めちゃくちゃ感動して購入させていただきました。

Corne Cherry を今年の End Game とする

天キーの後に Corne Cherry を組み立てて使いだします。元々、親指のキーの数に不安があり、自分が今まで使っていたキーマップをそのまま使うことを諦めていたので、まずデフォルトのキーマップに体を慣れさせることにしました。キーボードを最適化するより、自分を最適化したほうが悩むポイントが減るという考えです。 しばらく使い出し、キーの少なさへの戸惑いがなくなってくると、この小ささへの愛着がわきます。そこで、個人的には Corne Cherry を今年のキーボードの形状の End Game とし、幕を閉じたいと思い、もう一台購入したのでした。

最後に

今年 6 月からの出来事を思い出しながら書きましたが、いろんな出会いがあったなぁと思います。ここには書き切れていませんが、昔 Ruby 界隈で会った人が自キ界隈にいて個人的にはインターネット上だけど再開した気分になったり、Rubyist として交流のあった人からキーボードキットを購入したりなどもありました。ここまで、自分が自作キーボードに手を出すことができたのも、先人達が情報を集め、もっともりあがるように国内流通をできるようにされてきた努力があってのことだと思いますし、とても感謝しております。また、自作キーボード界隈では、BOOTH がよく使われており、作者に気軽にブーストして支払って応援できるプラットフォームのありがたさをとても感じています。

今年はキーボードの形状をいろいろ試したので、来年はキースイッチを楽しめるようになりたいなぁという気持ちがあります。 最後に、今年手に入れたキーボードたちを紹介して終わりたいと思います。

Ergo42

キースイッチは Gateron 赤軸、今つけているキーキャップは自キ Discord で譲って頂いたOLKB Acute。

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Ergo42

Helix 5 行モデル

キースイッチはKailh box 赤軸なんだけど、購入した数が足りず一部 Gateron 赤軸。キーキャップは TALP で購入したDSA PBT Keycap Set (ALL 1U/Dolch)

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Helix

Helix pico

Kailh のロープロ赤軸。

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Helix pico

ErgoDash

キースイッチは Kailh pro Purple。キーキャップは TALP の DSA PBT Keycap Set (ALL 1U/White/Blue)。このとき、ドゥルドゥルなタクタイルに憧れがあるんだけど、いつも軽めの軸使っているから、不安で中途半端な重さのタクタイルにしたのであった。

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ErgoDash

Corne Cherry たち

黒のキースイッチは Cherry の銀軸。キーキャップは TALP で購入した黒の DSA と親指のキーはこの後紹介する白用のキースイッチを購入したときについていたおまけのキーキャップ。

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CorneCherry黒

白のキースイッチは Gateron Silent Red 。キーキャップは BigBang。

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CorneCherry白

Planck Through Hole Kit

キースイッチは Gateron Silent Red。キーキャップは、最初 Ergo42 につけていた DSA のキャップ達。

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Planck Through Hole Kit

動かなかったキーボードたち

Blocky は、意気揚々と実装したのですが、 pro micro の下にダイオードの実装忘れを発見してしまい、意気消沈。namecard2x4 は、何が悪いのかわからないんだけど、ファームの書き込み時のリセットが走っているにもかかわらずファームが書き込まれない…

積まれているキーボードたち

Fortituned60。自分の中でこれが End Game だと組む前から意気込んでいたら、これにあわせるキースイッチに悩みまくり、組めていない。 module 。何か開発のお手伝いができればと思っていたのだけど、部品はそろえたもののの組む時間を捻出できず、もうすぐ冬コミ。ごめんなさい…

(この記事は、MacBook、CorneCherry(黒)、CorneCherry(白)で書かれました)