珈琲が苦手だったあなたに贈るコーヒー入門2022冬

以前 TL でブラックコーヒーが飲めないのがコンプレックスという発言をみかけ、ちょうどその人にその後会うタイミングがあったため、おすすめのコーヒーを渡していた。どうやら、そのコーヒーでコーヒー環境を整えようとしているようなので、記事を書いてみる。

大事なことは最初に

どうせ、長くなるし、散文になりそうなので、最初に大事なことをまとめておこう。

  • 豆は最初は LIGHT UP COFFEE で注文してみる
  • 一度にいれる分量を考えて、クレバードリッパーを買う
  • ミルは、Timemore の C3 シリーズを買う
  • 温度調節できる細口の電気ケトルがあるとベスト、なければ温度計があるとよい
  • クッキングスケールとタイマー必須

渡したコーヒーについて

本題に入る前に、その時渡したコーヒーについても書いておこうと思う。その時渡していたのは、TRUNCK COFFEE のインスタントコーヒーとドリップバッグ(お湯に浸すだけでできるやつ)である。

trunkcoffee.thebase.in

経験上、ブラックコーヒーが苦手な場合、いわゆる昔ながらの濃く苦いコーヒーが苦手なことが多いと推測した。なので、それとは真逆にある、いわゆる朝入りスペシャリティの酸味やフルーティーさを試してもらいたいと思ったのだった。TRUNCK COFFEE は、いわゆるインフューズドコーヒーを多く取り扱っていて有名なショップである。インフューズドコーヒーとは、コーヒーの生豆の精製過程でジュースやらなにやらに漬け込んで風味などをうつしたコーヒーである。賛否両論あるのだが、私は好きだし、昔ながらのコーヒーしか知らない人には、新鮮さを感じるのではないかと思ったのだった。

note.com

あと、コーヒーを普段飲まない人が器具を持っているということは稀なので、特別な器具がなくてもおいしいコーヒーを飲めるものという観点で、豆そのままや、ドリップパック(お湯をかけてドリップする必要のあるやつ)を選ばなかった。偶然、TRUNCK COFFEE では、おいしいインスタントコーヒーとして有名な INIC coffee とコラボしている商品があるのを知っていたのと、先ほどのインフューズドコーヒーのドリップバッグがあるというのも TRUNC COFFEE を選んだ理由だ。

www.inic-market.com

ちなみに、渡したのは以下の商品になる。

trunkcoffee.thebase.in

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本題

さて本記事では、そのようなコーヒー入門をした人に向けて私がおすすめしたいコーヒー環境を以下の項目に沿って紹介したいと思う。

  • 豆の選び方
  • 豆の保存方法
  • コーヒーの抽出方法と器具
  • ミルとケトルとスケール
  • おすすめ書籍

豆の選び方

以前渡したコーヒーがよかったということであれば、まず最初に選ぶべきは浅煎りのコーヒー豆だ。浅入りとは焙煎度合いを表す。焙煎度合いとは乱暴な言い方をすると、どれぐらい豆を焦がした(煎った)かであり、焦げが弱いものから強いものにいくにつれ、浅煎り、中浅、中煎り、中深、深煎りのように表現される。また、この表現は店やロースターによって違うし、同じ表現でも微妙に違ったりするので厄介である。

mystyle.ucc.co.jp

味の傾向としては、焙煎度合いが浅いと酸味が強くフルーティー、深くなると苦みがでてくる。しかし、これは元の豆が持つ特徴にもよって変わるのだが、だいたいこんな感じでとらえているとよい。なので、以前渡した傾向の味がよいのであれば、必然と焙煎度合いが浅煎りのものを選ぶと、同じ傾向である可能性が高い。

また、豆の産地によっても味の傾向がかわる。これが、前述した「元の豆が持つ特徴」の一つである。私としては、フルーティーさを重視するなら、エチオピアルワンダケニアあたりの豆をおすすめしたいところである。

mystyle.ucc.co.jp

豆を見ていくと、「水洗式(ウオッシュド)」や「ナチュラル」という記述が目に付くかもしれない。これも味を決める重要な項目になる。これは、コーヒーの実からコーヒー豆を取り出すときの方法(精製方法)を表す。傾向としてはウオッシュドはすっきりとした感じ、ナチュラルは甘味のある濃厚な味になる印象がある。これについては、最初はあまり気にしなくてもいいかもしれない。

さて、ここまでいろいろ書いたが、これだけ情報があるとどこでどうやって豆を買っていいのかわからなくなるのではないだろうか。そこで、私がおすすめするのは LIGHT UP COFFEE で一度買ってみることだ。

lightupcoffee.com

LIGHT UP COFFEE は、浅煎りをメインに扱っているコーヒーショップなので、どの商品を選んでも割と好みの傾向の味を得られるのではないだろうか。また、複数の産地の豆が少量ずつはいったセットがあるのもポイントが高い。とりあえず、これを選んで好みのものを探してみるのもよい。

SINGLE ORIGIN TASTING SETlightupcoffee.com

豆の保存方法

焙煎した豆は、焙煎してから徐々に劣化していく。なので、一度に大量の豆を買うよりも、少量買って早めに飲み切るようにしたい。豆の劣化を防ぐために、冷凍庫にいれる方法がおすすめされている。確かに冷凍保存は、劣化に効くようだ。

劣化について、どうとらえるかという観点もある。わたしは冷凍庫にいれずジップがある袋に入っている豆はそのまま、紙袋のものはキャニスターにいれて常温で保管している。そして、この劣化を味の変化としてとらえていて、それも楽しむようにしている。決して冷凍庫にいれて管理するのが面倒ということではない。決してだ。一般的には、味がどんどん落ちるといわれているが、日数をおくことで味が落ちついてきたり、好みの味になったのではと思うことがある。これは日がたつにつれ尖った味が落ち着いたり、焙煎したての焦げたにおいなどがおちつくことによっての変化かもしれない。

つまり、いろいろ試して、好きに保存してよいと思う。

コーヒーの抽出方法と器具

コーヒーの抽出とは、コーヒー豆からお湯にコーヒーの成分を移す行為と考えている。家庭で導入できるお手軽な抽出方法は 2 つあり、透過式と浸漬式と呼ばれるものだ。

透過式は、よくコーヒーを淹れるときにイメージする、お湯をちょっとずつ落として下からコーヒーがでてくるタイプのドリップである。ポピュラーな方法なので、器具の種類もあり入手も簡単である。しかし、落とすお湯の量やスピードで味がかわるため、好みの味をだすためには練習が若干必要である。

浸漬式とは、挽いたコーヒーの豆をお湯に浸し、時間をおいてから漉す方式である。こちらは、透過式のものよりも種類が少ない。透過式にくらべ、抽出にコツがなく、簡単というのがメリットだ。

はじめに選ぶ抽出器具としては、やはりクレバードリッパーをおすすめしたい。これは、浸漬式に分類されるドリッパーだ。ドリッパーにフィルターをセットして粉とお湯をいれ、待つ。そして時間がきたら、コップやサーバーに乗せて抽出されるという簡単なものだ。

サイズは S と L の 2 サイズあり、S だと 300ml (だいたいコップ 2 杯程度)が限界、L だと 500ml 程度いれることができる。ペーパーは、最初に抽出に必要な量のお湯をドリッパーにいれる必要があるため、フィルターの選択が表示されている人数目安とことなるので注意が必要だ。S だと 102, L だと 103 と呼ばれるサイズのを選ぶ必要がある。クレバードリッパーは、何かと最近品薄で Amazon だと正規価格より高いことがあるので注意したい。

また、透過式でドリップするのもおすすめしたいところではある。理由は、コーヒーを淹れるという行為が楽しいからだ。透過式のドリッパーは、たくさんあるのだが、今回おすすめするのは ORIGAMI Air ドリッパーだ。理由は簡単、かわいいから。かわいいだけでなく、同じ形状で陶器製の ORIGAMI ドリッパーは、コーヒーの抽出技術を競う大会で表彰台を独占したことで話題となっている。この Air は、それの簡易版で樹脂製のため落としても割れず、扱いやすいというメリットがある。サイズは S のみなので、一度に 2 杯程度の抽出ができる。

origami-kai.com

次はペーパーについてだ。ペーパーは、コーヒーの抽出液が最後に通る層であり、浸漬式だと長時間液体が接するので、案外重要なポイントである。ものによっては、ペーパーのにおいや味がコーヒーに影響をあたえるので、できるなら慎重に選択したいところだ。

www.youtube.com

わたしがおすすめするのは、アバカという素材で作られたペーパーで、つまりはこれだ。

このアバカ、ふつうのペーパーよりも抽出速度が速く、浸漬式での抽出時間がのびることによる過抽出を防ぐ効果があるといわれている。においもしないので、迷ったらこれを買うとよい。

cafec-jp.com

ミルとケトルとスケール

次に抽出器具以外に必要なものだ。

まずは、コーヒー豆を挽くためのコーヒーミルだ。これには電動や手動があり、値段や形状からピンキリである。豆を買うときに挽いてくれるし、下手なミルを買うとコーヒーの味を落とすことになるのでミルを買わないで、お店のミルのほうが性能がよいことが多いから挽いてもらったほうがかえって良いという意見もある。しかし、やはりミルを入手することはおすすめしたい。

電動を買うか、手動を買うかという判断が必要である。電動は手間がかからないが、そのぶん価格が高かったり、値段のわりに挽く性能がよくなかったりすることがある。一方、手動は挽くのが大変であるが、値段の割に性能がよいものが買える。挽くのが大変といったが、最近の高性能手動ミルは、ザクザクコーヒー豆を挽くことができる。この感覚が楽しい。また、電動にくらべ場所をとらない。つまり、わたしとしては手動のミルをおすすめしたい。

今回挽くことになる豆は、浅煎り挽く可能性がある。浅煎りの豆はとても固く挽くのが大変な部類である。そこで、おすすめしたいのが Timemore というメーカーがだしているミル(ただし nano を除く)になる。

コーヒーミルjp.timemore.com

なぜ、このメーカーのをおすすめするかというと、ミルに使われている刃の形状にある。nano 以外の現行のラインナップには S2Cという技術が採用されており、簡単にいうと固い豆でも軽い力で挽くことができるのである。この S2C の刃はすごく、やわらかい深煎りの豆であればハンドルの重さだけで豆が挽けるほどだ。入手しやすい価格帯のものが、一度に 25g ぐらい挽ける C3, 一度に 30g ぐらい挽ける C3 Max, C3 のハンドルをたためる C3 Pro, C3 Max のハンドルをたためる C3 Max Pro のラインだと思う。

電動についても触れておくと、今年後半電動ミルにも変化があり、性能がよい家庭向けのものが国内に展開されている。ただし、やはり人気のある商品で現在は在庫がなく、次入手できる機会は来年以降になるだろう。

Varia VS3 グラインダーkigu.coffee

次に揃えたい器具が、ケトルだ。お湯もコーヒー抽出には重要なファクターだ。特に、湯温が重要になってくる。抽出時のお湯の温度によって、味が変わってくる。一般に、お湯の温度が高いほど味が抽出されやすく苦みが強くなり、低いほど酸味が強くなるといわれる。実際、湯温を変えて抽出してみると、驚くほど味がかわる。ベストな湯温というのは、飲む人によってかわるだろう。

また、もし透過式のドリッパーを使うなら細口のケトルがよい。これは、お湯の量を調節することで抽出速度が変わり、味に変化が発生するからだ。一般的に、速く抽出するとすっきりめ、ゆっくりなら濃いめといわれる。

ということで、温度調整ができて細口の電気ケトルがあると便利である。わたしは、以前は温度計をつかってお湯の温度を確認しつつやっていたのだが、先月ぐらいに電気ドリップポットを導入したところ、コーヒーを淹れるときに気にしないといけないことが減って大変楽になった。

ちなみにわたしはエペイオスのドリップポットを使っている。これがたまに Amazon で 1 万円以下で買えるときがあり、またお湯が沸くのが速いというのもよいポイントだ。

結構キッチンで存在感をとるので、いろんなメーカーのを見てみるのをおすすめする。

Fellow Stagg EKG 電気ケトル 黒 [日本用正規品]kigu.coffee

ケトルbrewista.jp

最後にスケールである。最後だが重要な器具である。

コーヒーの味は、使う豆の量とお湯の量に左右される。当然ながら使う豆の量が多ければ味は濃くなり、少なければ薄くなる。また、お湯の量は、その逆だ。だいたい、私は 200ml 抽出するときは 15g の豆を、300ml なら 20g、以降抽出量が 100ml 増えるごとに 5g ずつ増やすようにしている。

とはいえ、これはどのご家庭にもあるキッチンスケールで代用はできる。しかし、コーヒー専用のスケールだと、同時タイマーがついていて抽出時間をはかることができる。抽出時間がながければ雑味がでやすいとされ、時間管理も大事なファクターだ。専用のスケールのものだと、お湯を注いだら勝手にタイマーをスタートしてくれるものもある。

わたしが使っているのは Timemore の Black mirror basic+という製品だ。これは、タイマーのオートスタートができるのと、重量変化が機敏であるのがよいポイントである。特に、重量変化が機敏というのが重要で、ものによっては重量が変化する事象が発生した数秒後に表示がかわるものがあったりし、ストレスなのである。

www.tostinocoffee.shop

*** おすすめ書籍

コーヒーについて、興味を持った時におすすめしたい何冊かを紹介しておこう。

この本は、家でコーヒーを飲んでみたい人が最初に読むとよさそうな内容がいっぱい丁寧に書かれている。イラストも多くさっと読めるのもよい。

コーヒーブログや Youtube でおなじみの CAFICT の中の人の本。写真もおおく、見ていて楽しい。

コーヒーについて、豆の起源から精製、抽出について科学的なことが書かれている定番書籍。

最後に

いっぱい書いたけど、とりあえず気楽に始めるといいと思います。

この記事は、Casasagi Oリングマウントケースにフラミンゴスイッチ(ストック) + MT3 Susuwatariで煎茶堂東京のあさつゆを飲みながら書かれました。

012 ASATSUYU あさつゆshop.senchado.jp